何故病院には長く入院できないのか
しんどくて救急車を呼んで入院になったのに、3日で退院になっちゃった・・
短期間で退院して、大丈夫なのか不安になりますよね。
しんどくて救急車を呼んで病院を受診し、入院。でも短期間で退院‥体調は万全ではないし不安だしもう少し入院させて欲しかったのに…という患者さん、いらっしゃるんじゃないでしょうか。
結論
- 病院の種類によって入院できる期間が決まっている
- 長期入院による体力低下を防ぐため
病院には種類がある
病院のベッド(病床)には厚労省が決めた4種類の分類があります。
- 高度急性期:ICU(集中治療室)など重症患者さんで綿密な医療が必要な方のベッド
- 急性期:急病の患者さんに対して症状を安定させるためのベッド
- 回復期:脳卒中や術後の患者さんのリハビリのためのベッド
- 慢性期:病状としては安定し積極的なリハビリも必要ないがある程度医療行為(半永久的に人工呼吸や点滴が必要など)が必要な患者さんのためのベッド
となっています。
通常皆さんが発熱や嘔吐下痢、怪我などで入院するのは、高度急性期、もしくは急性期ということになります。
一つの病院の中に急性期と回復期のベッドを持つ病院もありますが、大きな総合病院であれば一般的に高度急性期、急性期が大半となっていることが多いです。次々と救急患者を受け入れる必要があるので、一人一人の患者さんを長く入院させておくことができません。どうしてもリハビリが必要、療養が必要となった場合には回復期や慢性期のベッドを持つ病院へ転院をしていただきます。
長期入院による体力の低下
風邪などで3日間ずっと布団で寝ていると、やっと熱が下がって、さあ動こうとした時、かなり体が怠い…こんな経験ありますよね。病院というのは、食事も運ばれてきますし、特に家事や仕事をする必要もなく、トイレや売店に行くくらいしか運動の機会がありません。若い方でも1-2週間もベッドでじっとしていれば、筋肉が落ち体力が低下していきます。
ある研究によると、1週間の安静臥床で1-4%、3週間になると50%もの筋力低下が起こると言われています。びっくりする数字ですよね。動かなければ動かないほどどんどん人の体は弱っていくのです。高齢の方であれば尚更でしょう。たいして運動していないように思っていても人は通常生活をするだけで筋肉の維持が可能な負荷がしっかりかかっています。
病院が安心だからもう少し入院していたい、というのは私達医療者からすれば、全然安心ではないので私達が自宅で生活可能と判断した場合は早めに退院が望ましい、と考えます。
病気にもよりますし、患者さんのご年齢や生活環境(独居なのか家族がいるのかなど)によってもちろん個別に判断しますが、長期の入院は必ずしも良い結果を産むとは限りません。
なかなか長期入院ができない理由、参考になりましたでしょうか?
入院の際には退院時期について、医師や看護師とよく話してみてくださいね。